夏のつらい腹痛。数日経っても治らない、あるいは、痛みがどんどん強くなってくる。そんな時、適切な医療機関を受診することは、正しい診断と治療への第一歩です。では、夏の腹痛で悩んだら、一体、何科の扉を叩けば良いのでしょうか。その症状によって、いくつかの選択肢が考えられます。まず、最も一般的で、幅広い腹痛の原因に対応できるのが、「消化器内科」です。消化器内科は、食道から胃、腸、そして肝臓、胆嚢、膵臓といった、消化器全般の専門家です。夏場に多い、感染性胃腸炎や、冷えによる腸の機能低下はもちろんのこと、胆石症や急性膵炎といった、より専門的な診断が必要な病気まで、包括的に診てくれます。腹痛に加えて、下痢や嘔吐、胃もたれといった、消化器系の症状が中心である場合は、まず消化器内科を受診するのが、最も確実な選択と言えるでしょう。次に、かかりつけの「内科」や「総合内科」も、最初の相談窓口として、非常に頼りになる存在です。腹痛だけでなく、発熱や倦怠感など、全身の症状が伴う場合、体全体を総合的に診てくれる内科医が適しています。そこで、食中毒が疑われる、あるいは、より専門的な検査が必要だと判断されれば、適切な専門科や、提携病院へスムーズに紹介してくれます。また、女性の場合、下腹部の痛みが、婦人科系の病気である可能性も、常に考えておく必要があります。月経周期との関連性や、不正出血を伴う場合は、「婦人科」を受診すべきです。夏場は、体の抵抗力が落ちやすく、骨盤腹膜炎などを起こしやすくなることもあります。そして、排尿時の痛みや、頻尿、血尿といった、泌尿器系の症状を伴う腹痛の場合は、「泌尿器科」が専門となります。夏場は、脱水から尿路結石を発症しやすい季節でもあります。どの科を受診すれば良いか、どうしても判断に迷う場合は、まずは、かかりつけ医か、最も症状が広い範囲をカバーしている、消化器内科に相談するのが良いでしょう。大切なのは、自己判断で重症化させてしまう前に、専門家の助けを借りることです。
夏の腹痛で病院へ、何科へ行けば安心か