子供の水いぼ治療で、最も確実な方法とされるのが、専用のピンセットによる摘出です。しかし、この治療には痛みが伴うため、子供が怖がったり、暴れたりして、治療が困難になることがあります。この痛みを和らげ、スムーズに治療を行うために、多くの皮膚科で用いられているのが、局所麻酔成分が含まれた「麻酔テープ(商品名:ペンレステープなど)」です。この麻酔テープを、正しく、そして上手に使うことが、子供の負担を軽減する鍵となります。麻酔テープは、リドカインという麻酔薬を含んだ、半透明の小さなシールです。これを、水いぼを摘出する予定の場所に、治療の約1時間前に貼っておくことで、皮膚の表面の感覚を麻痺させ、摘出時の痛みを大幅に軽減させる効果があります。しかし、ただ貼るだけでは、十分な効果が得られないことがあります。効果を最大限に引き出すための、いくつかのコツを知っておきましょう。まず、テープを貼る「場所」と「範囲」です。摘出したい水いぼが、テープからずれないように、中心に来るように正確に貼ります。水いぼの数が多い場合は、複数枚のテープを、少し重なるようにして隙間なく貼ることが大切です。次に、重要なのが「密閉」です。麻酔テープは、皮膚にしっかりと密着し、密閉された状態になることで、麻酔成分が効率よく皮膚に浸透します。テープを貼った後、その上から、防水性のフィルム材(テガダームなど)や、サージカルテープ、あるいはラップなどで、空気が入らないようにぴったりと覆ってあげると、効果が格段に高まります。特に、関節などの動きやすい場所や、汗をかきやすい夏場は、テープが剥がれやすいため、この上からの固定は必須です。そして、「貼っておく時間」も重要です。通常、効果が現れるまでに、少なくとも60分程度の時間が必要です。病院に行く時間から逆算して、指示された時間に正確に貼るようにしましょう。ただし、長時間貼りすぎると、皮膚がかぶれたり、副作用のリスクが高まったりすることもあるため、医師に指示された時間は必ず守ってください。このように、少しの工夫で、麻酔テープの効果は大きく変わります。痛みを最小限に抑え、子供が「治療は怖くない」という経験をすることができれば、今後の通院もスムーズになるはずです。