私の右足に、奇妙な違和感が現れ始めたのは、40歳を過ぎた頃でした。最初は、長時間デスクワークをした後に、お尻から太ももの裏にかけて、ピリピリとした軽いしびれを感じる程度でした。ストレッチをすれば治まるので、疲れが溜まっているのだろうと、軽く考えていました。しかし、症状は徐々に、そして確実に進行していきました。しびれはふくらはぎ、そして足先まで広がり、まるで自分の足ではないかのような、一枚皮を被ったような感覚に襲われるようになったのです。特に、朝起きて顔を洗おうと前かがみになった時や、長時間車を運転した後に、激痛に近いしびれが走るようになりました。これはただ事ではないと、インターネットで症状を検索し、「坐骨神経痛」や「椎間板ヘルニア」という言葉に行き着きました。そして、次に悩んだのが「何科へ行くべきか」ということです。しびれだから神経内科か、それとも腰が原因なら整形外科か。私は、おそらく腰の骨や筋肉に問題があるのだろうとあたりをつけ、近所の整形外科クリニックの扉を叩きました。診察室では、医師が私の話を丁寧に聞き、足を上げたり、体を反らしたりするテストで、痛みが誘発されるかを確認しました。そして、「ヘルニアの可能性が高いですね。詳しく見るためにMRIを撮りましょう」ということになりました。後日、MRIの画像を見ながら、医師は「やはり、腰椎の4番目と5番目の間で、椎間板が飛び出して、右足へ行く神経を圧迫しています」と、はっきりと原因を告げてくれました。病名が確定したことで、先の見えない不安は消え、これから治療に専念しようという前向きな気持ちになれたことを、今でも覚えています。あの時、運動器の専門家である整形外科を選んだことが、スムーズな診断と治療への第一歩だったと確信しています。