夏バテによる腹痛や下痢の大きな原因は、「お腹の冷え」にあります。外は猛暑でも、私たちの体、特に胃腸は、冷房や冷たい飲食物によって、芯から冷え切ってしまっていることが少なくありません。この冷えが、血行不良を招き、胃腸の働きを鈍くさせ、痛みを引き起こすのです。そこで、つらい症状を和らげるために、非常にシンプルで、かつ効果的なセルフケアが、「お腹を温める」ことです。まず、最も手軽にできるのが、「服装の工夫」です。冷房の効いた室内では、たとえ夏であっても、腹巻きをしたり、カーディガンやひざ掛けを使ったりして、お腹周りを冷気から守りましょう。特に、睡眠中は、体が冷えやすいため、薄手の腹巻きや、タオルケットでお腹を覆うだけでも、違いが出ます。次に、体の「外側から」直接温める方法です。使い捨てカイロや、湯たんぽ、あるいは、濡らしたタオルを電子レンジで温めて作る蒸しタオルなどを、おへその周りに当てます。じんわりとした温かさが、腹部の筋肉の緊張をほぐし、血行を促進して、痛みを和らげてくれます。お風呂も、シャワーだけで済ませるのではなく、38~40度程度の、ぬるめのお湯に、ゆっくりと浸かるのがおすすめです。全身の血行が良くなり、自律神経のバランスを整える、リラックス効果も期待できます。そして、体の「内側から」温めることも、忘れてはなりません。食事や飲み物は、できるだけ温かいものを選びましょう。冷たい麦茶やジュースの代わりに、常温の水や白湯、あるいは、生姜やシナモンといった、体を温める作用のあるスパイスを入れた、温かいハーブティーなどを飲むのも良いでしょう。食事も、冷たい麺類ばかりではなく、野菜たっぷりの温かいスープや、味噌汁などを、一食は取り入れるように心がけてください。これらの「温活」は、即効性のある薬ではありません。しかし、日々の生活の中で、意識的に胃腸を温めてあげる習慣を続けることが、弱った消化機能を回復させ、夏のつらい腹痛を、根本から改善していくための、最も優しく、そして確実な方法なのです。
お腹を温める、夏バテ腹痛のセルフケア