朝起きるたびに襲ってくる、かかとの激痛。セルフケアを試しても、一向に改善しない。そんな時は、自己判断で我慢し続けず、専門家の診断を仰ぐことが重要です。では、かかとの痛みで病院へ行く場合、一体どの診療科を受診すれば良いのでしょうか。まず、第一選択となる、最も適切な診療科は「整形外科」です。整形外科は、骨、関節、筋肉、靭帯、腱といった、体を動かすための器官(運動器)の病気や怪我を専門とします。朝のかかとの痛みの最も一般的な原因である「足底腱膜炎」は、かかとの骨に付着する腱膜の炎症であり、まさに整形外科の専門領域です。整形外科では、問診で、いつから、どのような時に痛むのかを詳しく聞き、痛む場所を直接押して確認する「圧痛点」のチェックや、足の動きを診る身体診察を行います。そして、診断を確定させるために、「レントゲン(X線)検査」が行われます。レントゲンでは、足底腱膜そのものは写りませんが、かかとの骨に「踵骨棘(しょうこつきょく)」というトゲができていないか、あるいは、疲労骨折などの骨自体の異常がないかを確認することができます。場合によっては、「超音波(エコー)検査」で、足底腱膜が炎症によって厚くなっている様子を、直接観察することもあります。これらの診察と検査に基づいて、正確な診断が下され、それに応じた治療が開始されます。治療法には、消炎鎮痛薬(湿布や内服薬)の処方、インソール(足底装具)の作製指導、理学療法士によるストレッチやリハビリテーション、そして、痛みが非常に強い場合には、患部に直接ステロイドを注射する「ステロイド注射」など、様々な選択肢があります。もし、近所に整形外科がない場合は、「接骨院」や「整骨院」で相談するという手もありますが、レントゲン検査や薬の処方といった、医療行為は行えません。正確な診断と、包括的な治療を望むのであれば、まずは整形外科の専門医を受診することが、最も確実で安心な道と言えるでしょう。
かかとの痛みで病院へ行くなら何科か