「貧血かもしれない」と病院に行くことを決意したものの、そこで一体どのような検査が行われるのか、痛い検査や時間のかかる検査があるのではないかと、不安に感じている方もいるかもしれません。しかし、心配は無用です。貧血の診断における基本的な検査は、非常にシンプルで、身体的な負担も少ないものです。ここでは、病院で行われる貧血の検査の基本的な流れと、その内容について詳しく解説します。まず、診察室に入って最初に行われるのが「問診」です。医師は、あなたの自覚症状について、詳しく質問します。例えば、「いつから、どのような症状がありますか(めまい、動悸、息切れ、倦怠感など)」「普段の食生活はどのようなものですか」「女性の場合は、月経の量や周期はどうですか」「血便や黒い便が出たことはありますか」といった内容です。これらの情報は、貧血の原因を推測する上で非常に重要な手がかりとなるため、できるだけ正確に、そして正直に答えることが大切です。問診が終わると、次に行われるのが、貧血診断の要である「血液検査」です。腕から少量の血液を採取する、ごく一般的な採血です。この血液を使って、いくつかの重要な項目を測定します。最も基本となるのが「ヘモグロビン(血色素)濃度」です。ヘモグロビンは、赤血球に含まれる、酸素を全身に運ぶ役割を担うタンパク質であり、この値が基準値を下回っていると、貧血と診断されます。その他にも、「赤血球数」や、赤血球一つ一つの大きさを示す「MCV」といった値も参考に、貧血の種類を分類していきます。そして、鉄欠乏性貧血が疑われる場合に、非常に重要な指標となるのが「フェリチン(貯蔵鉄)」の値です。フェリチンは、体内に貯蔵されている鉄分の量を反映しており、この値が低い場合は、体が鉄分不足の状態にあることを明確に示します。通常、これらの血液検査の結果は、当日か、数日後には判明します。そして、これらの検査結果と問診の内容を総合的に判断し、医師が最終的な診断を下します。もし、貧血の原因として、消化管からの出血などが疑われる場合は、追加で「便潜血検査」や、より精密な「胃カメラ」「大腸カメラ」といった検査が推奨されることもあります。しかし、最初のステップは、あくまで問診と血液検査です。過度に心配せず、まずは医師に相談することから始めてみてください。