あれは仕事の締め切りが重なり、睡眠不足が続いていたある夏の日のことでした。最初は右の脇腹あたりに、虫に刺されたようなムズムズとした違和感を覚えた程度でした。数日経つと、その場所がヒリヒリと痛み始めましたが、私は「ただの肌荒れだろう」とか「筋肉痛の類かな」と軽く考えていました。鏡で見ると、小さな赤い斑点がいくつか並んでいましたが、市販の軟膏を塗ればそのうち自然治癒するだろうと高を括っていたのです。これが、その後の私の人生を数ヶ月にわたって暗転させる大きな過ちの始まりでした。一週間が過ぎる頃、痛みは「ヒリヒリ」から「突き刺すような激痛」へと変わりました。夜も眠れず、服が擦れるだけで飛び上がるほどの苦しみです。ようやく重い腰を上げて病院へ行ったとき、医師から告げられたのは「なぜもっと早く来なかったのですか」という厳しい言葉でした。診断は典型的な帯状疱疹でしたが、すでにウイルスの増殖はピークを過ぎ、神経の損傷がかなり進んでしまっていたのです。処方された抗ウイルス薬を飲み始め、皮膚のぶつぶつは二週間ほどで消えていきましたが、本当の恐怖はそこからでした。皮膚が綺麗になったにもかかわらず、脇腹の内側を熱い鉄板で押し当てられているような痛みが全く引かないのです。医師からは「帯状疱疹後神経痛」に移行した可能性があると言われ、痛み止めの種類がどんどん増えていきました。仕事中も痛みのせいで集中できず、大好きな趣味の運動もできなくなり、精神的にも追い詰められる日々が半年以上続きました。もし、あの最初の違和感の段階で「自然治癒するはずだ」という根拠のない自信を捨てて病院へ行っていれば、三日間薬を飲むだけで、これほどの苦しみを味わうことはなかったはずです。帯状疱疹の痛みは、経験した者にしかわからない孤独な苦痛です。表面上の傷が治っても、神経に刻まれた傷跡は目に見えず、周囲にも理解されにくいのが辛いところです。これから帯状疱疹になるかもしれない人、あるいは今まさに「これって帯状疱疹かな?」と疑っている人に、私は声を大にして伝えたいです。この病気に自然治癒という甘い言葉は通用しません。痛みの記憶を脳に焼き付けないためにも、皮膚の異変に気づいた瞬間に、全ての予定をキャンセルしてでも皮膚科へ走ってください。私のような後悔を、他の誰にもしてほしくない。あの時失った健康な時間と精神的な余裕は、いくらお金を積んでも買い戻すことはできないのですから。
私が帯状疱疹を放置して後悔した体験と長引く痛みの恐ろしさ