コンコンと乾いた咳、あるいはゼロゼロと痰が絡む湿った咳。風邪をひいた後などに、咳だけがいつまでも続くという経験は、多くの人にあるでしょう。しかし、その咳が2週間、3週間と長引く場合、それは単なる「風邪の治りかけ」ではないかもしれません。このような「止まらない咳」に悩まされた時、一体どの診療科を受診すれば良いのでしょうか。まず、最も専門的な診断と治療が期待できるのが「呼吸器内科」です。呼吸器内科は、その名の通り、気管、気管支、肺といった、呼吸に関わる器官(呼吸器)の病気を専門とする診療科です。長引く咳の原因として考えられる、咳喘息、気管支喘息、気管支炎、肺炎、あるいは肺がんや結核といった、様々な疾患の鑑別診断において、その専門性を発揮します。レントゲンやCT、呼吸機能検査、喀痰検査といった専門的な検査を用いて、咳の根本原因を突き止めてくれます。次に、一般的な相談窓口として「内科」や「総合内科」も選択肢となります。特に、咳だけでなく、発熱や倦怠感といった全身症状を伴う場合や、かかりつけ医がいる場合は、まずは内科を受診するのがスムーズです。そこで専門的な検査が必要と判断されれば、呼吸器内科へ紹介してもらう流れになります。また、咳と共に、鼻水や鼻づまり、喉の痛みといった、鼻や喉の症状が強い場合は、「耳鼻咽喉科」への受診も有効です。鼻水が喉に落ちる「後鼻漏(こうびろう)」が、咳の原因となっているケースは非常に多く、これは耳鼻咽喉科の得意分野です。副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎が、長引く咳の背景に隠れていることも少なくありません。さらに、特定の季節や環境で咳が悪化する場合は、「アレルギー科」でアレルギーの原因を特定することも、治療の糸口となります。どの科を受診すべきか迷った時の判断基準は、「咳以外の症状」に注目することです。鼻や喉の症状が主なら耳鼻咽喉科、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や息切れがあれば呼吸器内科、まずは総合的に診てほしいなら内科。この基本を押さえておくと良いでしょう。