大事なプレゼンテーションや試験の前日、あるいは楽しみにしていた旅行の直前など、なぜか「ここぞ」というタイミングでものをらいができてしまった、という苦い経験はありませんか。これは単なる偶然ではなく、私たちの「心」の状態、特に精神的なストレスが、ものもらいの発症に深く関わっていることを示唆しています。ストレスとまぶたの炎症。一見すると無関係に思えるこの二つは、自律神経と免疫システムという体をコントロールする重要な仕組みを介して、密接に結びついています。私たちが強いストレスを感じると、体は戦闘モードに入り、「交感神経」が活発になります。交感神経が優位になると、血管が収縮して血流が悪くなり、心拍数や血圧が上昇します。この状態が長く続くと、体をリラックスさせ、修復する役割を持つ「副交感神経」の働きが抑制され、自律神経全体のバランスが崩れてしまいます。この自律神経の乱れは、私たちの体を細菌やウイルスから守ってくれている免疫システムに直接的な影響を及ぼします。血行が悪化すると、パトロール役である免疫細胞が体の隅々まで行き渡りにくくなり、その働きも低下してしまいます。つまり、強いストレスにさらされている体は、いわば防御態勢が手薄になった無防備な状態なのです。この隙を狙って勢力を拡大するのが、普段は私たちの皮膚でおとなしくしている黄色ブドウ球菌などの常在菌です。免疫力という監視の目が弱まったことで、まぶたの毛穴や分泌腺に侵入し、やすやすと炎症を引き起こしてしまうのです。また、ストレスはホルモンバランスの乱れも引き起こします。これにより皮脂の分泌が過剰になり、まぶたの腺が詰まりやすくなることも、ものもらいができやすい環境を作る一因となります。このように、まぶたにポツンとできた赤い腫れは、単なる局所的な炎症ではなく、あなたの心が抱えている緊張やプレッシャーが、体の表面に現れたサインなのかもしれません。