処方された抗生物質を飲んでいるのに、熱は下がらず、咳はむしろひどくなる一方。大人のマイコプラズマ肺炎で、このような治療が難航するケースが増えています。その最大の原因として問題視されているのが「薬剤耐性菌」の存在です。これは、特定の抗生物質が効かなくなってしまったマイコプラズマ菌のことで、この菌に感染してしまうと、治療期間は必然的に長引くことになります。マイコプラズマ肺炎の治療において、第一選択薬として長年用いられてきたのが、マクロライド系と呼ばれる抗生物質です。しかし、この薬が広く使われた結果、マクロライド系薬剤に対して耐性を持つ菌が蔓延してしまいました。特に小児でその割合が高いことが知られていますが、近年では大人への感染例も決して珍しくありません。もし、あなたがこの耐性菌によるマイコプラズマ肺炎にかかっていた場合、最初に処方されることが多いマクロライド系の薬を飲んでも、体内の菌は全く減らずに増殖を続けます。そのため、二日から三日経っても症状が全く改善しない、あるいは悪化するという事態に陥るのです。このような場合、医師は薬剤耐性菌の可能性を疑い、別の系統の抗生物質への変更を検討します。大人に対しては、テトラサイクリン系やニューキノロン系といった抗生物質が有効です。これらの薬に変更することで、劇的に症状が改善し、ようやく熱が下がり始めます。しかし、薬を変更するまでに数日間を要するため、その分だけ高熱や激しい咳に苦しむ期間が長くなり、体力の消耗も激しくなります。治療期間を無駄に長引かせないためには、処方された薬を飲んでも症状が改善しないと感じたら、我慢せずに早めに医師にその旨を伝え、治療方針を再検討してもらうことが極めて重要です。