夏バテによる腹痛や下痢に悩まされている時、弱った胃腸をさらに刺激するような食事は、症状を悪化させるだけです。回復を早めるためには、胃腸に負担をかけず、かつ、失われた水分と栄養を、効率よく補給できるような食事を、意識的に選ぶことが重要になります。まず、大原則として、キンキンに冷えた食べ物や飲み物は、絶対に避けましょう。胃腸を直接冷やすことは、消化機能の低下を招く最大の原因です。飲み物は、冷たい麦茶やジュースではなく、常温の水や白湯、あるいは、カフェインの少ない、人肌程度のほうじ茶などがおすすめです。食事の基本は、「消化が良く、温かいもの」です。主食としては、水分を多く含み、柔らかく調理された、温かいおかゆや、よく煮込んだうどんが最適です。具材を加えるなら、豆腐や、脂肪分の少ない鶏のささみ、白身魚(タラなど)といった、高タンパクで低脂肪な食材を選びましょう。タンパク質は、荒れた胃腸の粘膜を修復するのに役立ちます。野菜は、食物繊維の多い、ごぼうやきのこ類は避け、大根やカブ、じゃがいも、かぼちゃなどを、スープや煮物にして、クタクタになるまで柔らかく煮込むのが良いでしょう。特に、大根やカブには、消化を助ける酵素が含まれているため、弱った胃腸には最適です。調理法も、揚げる、炒めるといった、油を多く使う方法は避け、煮る、蒸す、茹でるといった、シンプルな方法を心がけてください。香辛料や、酢の物などの酸味が強いもの、そして、お菓子やジュースなどの糖分が多いものも、胃腸を刺激するため、症状が落ち着くまでは控えましょう。また、一度にたくさん食べるのではなく、少量ずつ、数回に分けて食べることも、胃腸の負担を軽減する上で、非常に効果的です。下痢がひどい時は、無理に固形物を食べる必要はありません。まずは、経口補水液などで、失われた水分と電解質を補給することに専念してください。そして、少し症状が落ち着いてきたら、これらの胃腸に優しい食事を、少しずつ試していく。焦らず、自分の体の声を聞きながら、優しく栄養を届けてあげることが、回復への一番の近道です。
夏バテの腹痛を和らげる食事のポイント