ある日突然、声が出なくなった。あるいは、何週間も声のかすれが治らない。そんな時、私たちは一体、どの病院の扉を叩けば良いのでしょうか。内科、呼吸器科、それとももっと別の科?その答えに迷った時のための、最もシンプルで、そして最も安全な結論。それは、「迷ったら、まずは耳鼻咽痕科へ」ということです。なぜなら、耳鼻咽喉科は、声の異常に関するあらゆる可能性を最初に診断し、必要であれば、適切な専門科へと振り分けてくれる、まさに「声のトラブルの総合案内窓口」としての役割を果たしてくれるからです。声が出ない原因の九割以上は、声帯の炎症やポリープといった、喉そのものの問題にあります。これらは、耳鼻咽喉科が持つ「喉頭ファイバースコープ」という専門的な機器でなければ、正確に診断することはできません。まず、この最も可能性の高い原因を、専門家によってきちんと診断してもらうことが、治療の第一歩として不可欠です。そして、もしファイバースコープ検査の結果、声帯には全く異常が見られなかった場合、ここからが耳鼻咽喉科の、もう一つの重要な役割の始まりです。経験豊富な耳鼻咽喉科医は、あなたの他の症状や、生活背景から、喉以外の原因を推測します。例えば、あなたが「最近、強いストレスがあった」と話せば、「心因性失声症の可能性があるので、一度、心療内科に相談してみては」と、道筋を示してくれます。もし、声帯の動きに麻痺が見られれば、その原因を探るために、「甲状腺のエコー検査をしてみましょう」と提案したり、「肺がんや脳の病気の可能性も否定できないので、内科や脳神経外科で、CTやMRIの検査を受けてください」と、適切な専門科への紹介状を書いてくれたりします。このように、耳鼻咽喉科を最初の窓口とすることで、あなたは、自分で様々な病院を渡り歩くという、時間と労力の無駄を省き、最も効率的に、そして最も安全に、本当の原因へとたどり着くことができるのです。声が出ないという不安な状況で、一人で悩む必要はありません。まずは、声の専門家である耳鼻咽喉科医に、その悩みを相談することから始めてみてください。