それは、生後八ヶ月になったばかりの息子が、ある日の夕方から突然四十度の高熱を出したことから始まりました。それまで一度も病気をしたことがなかった息子が、私の腕の中でぐったりと熱くなっている姿を見て、私はパニックに近い不安に襲われました。病院での診断は「おそらく突発性発疹でしょう」というものでしたが、一番の疑問は、どこでこのウイルスをもらってきたのかという点でした。当時、私たちは感染症を恐れて人混みを避け、保育園にも通わせていませんでした。児童館にも数週間行っておらず、接触した子供といえば、近所に住む元気な従兄弟だけだったのです。私は必死に感染経路を遡り、誰が犯人なのかを突き止めようとしました。しかし、医師から告げられた真実は、私の想像を遥かに超えるものでした。突発性発疹のウイルスは、実は私自身や夫の唾液の中に潜んでおり、日々の何気ないスキンシップを通じて息子に伝わった可能性が高いというのです。毎日欠かさず行っていた離乳食のフーフーという動作や、可愛いほっぺへのキス、そして家族で共有していたタオル。それらすべてが、ウイルスにとっては絶好の通り道だったのです。私は「自分の不注意で息子を苦しめてしまった」と激しく落ち込みましたが、先生は「これは親から子へ贈られる、最初の免疫の試練なんですよ」と優しく諭してくれました。大人はみんなこのウイルスを持っていて、それを赤ちゃんに渡すことで、赤ちゃんは自分の力で熱を出し、抗体を作っていくのだそうです。結局、息子は三日間の高熱の後、全身にバラ色の発疹を出し、一週間後には元通りの笑顔を取り戻しました。あんなに酷かった不機嫌も、今となっては成長の証だと思えます。この体験を通じて私が学んだのは、感染経路を完全に封鎖することは不可能であり、またその必要もないということです。私たちが愛を持って接する中で、ウイルスもまた静かに受け継がれていく。突発性発疹という病気は、目に見えない絆の一部なのだと、今では前向きに捉えています。もし今、かつての私のように感染経路を探して悩んでいるお母さんがいたら、伝えたいです。それはあなたが赤ちゃんを大切に愛してきた証拠であり、赤ちゃんが新しい世界に適応しようとしている素晴らしい第一歩なのだということを。
我が子の突発性発疹と見えない感染経路の謎